MSE試験事例

-Case Study-

peret

2粒子試験でみる硬質薄膜と基材の特性

■ 目的

  • 条件の異なる2つの試験から、
    膜および、基材の特性を評価する。

■ サンプル

サンプル名 製膜法 HV 基材
TiCN_1 ホロカソードアーク 3000~3500 超硬 合金
TiCN_2 ホロカソードアーク 3000~3500
DLC_1 イオン化蒸着 2500~3500
DLC_2 プラズマCVD 2000~3000

■ 試験結果

2粒子の試験結果 エロージョン進行グラフ(損傷進行)でみる

多角アルミナ粒子

試験粒子 多角アルミナ粒子 d50 = 1.2μm

高硬度 超微小径多角粒子の衝突によるエロージョン率は、結晶内の原子・分子間結合強度を反映した、膜の強さを示す。

2粒子の試験結果 エロージョン進行グラフ(損傷進行)
  • ◇ 皮膜強さは DLCがTiCNよりも強い。
  • ◇ 皮膜部の強さ分布は TiCNが曲線分布である。
  • ◇ DLCは基材との間に弱い層が存在する。
球形アルミナ粒子

試験粒子 球形アルミナ粒子 d50 = 3μm

質量が大きい球粒子の衝突によるエロージョン率は、試験1に比べて広範囲かつ深くまでの影響を含んだ膜の強さを示す。結晶粒間の結合強度、クラック、ボイドの影響を反映する。

質量が大きい球粒子の衝突によるエロージョン率は、試験1に比べて広範囲かつ深くまでの影響を含んだ膜の強さを示す。
  • ◇ TiCN_1はTiCN_2よりも弱い。
    DLC_1は DLC_2よりも強い。

注) 全ての膜で膜厚が多角粒子の結果に比べて薄い。

■ 評価

MSEマップによる強さの評価

MSEマップによる強さの評価
  • 横軸:試験1の皮膜部エロージョン率の逆数
  • 縦軸:試験2の皮膜部エロージョン率の逆数

グラフ上の位置から材料特性を読み取ることができる。

基材 超硬合金
  • 材質としては 硬く(横軸)て、脆い(縦軸)。
  • 狭い領域にあり、超硬合金間の差異が小さい。
TiCN
  • TiCN_1は軟らかく脆い。
  • TiCN_2は軟らかく粘り強い。
  • 成膜方法は同じでも膜質には大きな差異がある。
DLC
  • DLC_1は硬くて粘り強い。
  • DLC_2は硬くて脆い。
  • 成膜法が異なることで膜質には大きな差異がある。

グラフの右上ほど材料が強い(硬くて粘り強い)ことを示す。